法話

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「念仏に生きる」 〜その1 混迷する現代社会〜

 現代社会は今非常に混迷の状況をしめしていると思います。教育も政治も経済も医療どれを取っても大きな矛盾を抱え、その方向を誤っているように思えて成りません。この混迷の根本的原因は、何が真実かということを一人一人が解らなくなっているからではないでしょうか。環境破壊は地球規模で進行し、今や取り返しのつかない段階に進みつつあるのではないでしょうか。
 さらに近年遺伝子操作などによる「いのち」への関わりを見ると科学技術の進歩は止まることを知りません。これはまさに人間のおごりではないでしょうか。四十五億年の地球の歴史で人間の誕生は僅か二百万年程度のものです。それも近代文明といわれる僅か二百年ほどの間に、四十五億年続いてきたこの美しい地球を人間という一つの生き物が破壊し、殺戮を繰り返して滅ぼそうとしているのです。そして今人間の欲望はクローン人間まで造ろうとしています。

 今年の一月五日付け毎日新聞社説に千九百年の世界の人口は六億三千四百万人であったが、今年の十月十二日には六十億人に達すると書かれていました。驚くべき数字です、人間だけが増え続けて、他の生物種の絶滅や減少そして地球温暖化、オゾン層の破壊、砂漠化の進行など、人間による地球破壊はすさまじく、このままの拡大基調をとり続ければ地球そのものがパンクすると警告を発しています。
 二千五百年前釈尊は誕生され人間の苦悩の根本は煩悩であると示されました。煩悩の第一に貪欲をあげて人間の欲望には限りがないと説かれました。そして私達に「小欲知足」の生き方を勧められました。今こそ仏教による地球救済を訴える事が必要な時代ではないでしょうか。しかし多くの宗教は人間の欲望を適える事を説いて、人々を一層貪欲の迷いの中に引き込んでいます。私達の欲望は決して無くすことは出来ません。そして意欲があるから向上もあったのです。欲望を無くしては生きられません、しかし欲望には限りがなく次から次へと膨らみ貪欲となっていきます。まさに現代社会は欲望の歯止めが無くなった時代はないでしょうか。
 釈尊は欲望追求の果てにあるものを餓鬼道であると示されています。今まさに世界中が餓鬼道に落ちようとしているのではないでしょうか。エネルギーを始めとしたあらゆる物を大量生産、大量消費する生活を止めて小欲知足の生活を考え、全てのいのちと共存する道を歩まねばなりません。