法話

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地球環境と人間 〜地球の一員として生きる〜

 先年上越市の博物館を訪ねた。そこに地球の歴史をわかりやすく解説してあった。地球は今から約46億年前に誕生した。最初は熱いガス状で、次第に固まりそして熱い雨が降り注いだ。そして35億年前に地球の海の中に単細胞の生物が誕生した。それから遙かな時を経て、約5億年前の海に三葉虫が栄えていた。そして4億年前に最初の魚類が出現し、さらに3億5千万年前両生類が出現し、2億年前頃より恐竜が出現した。では我々と同じほ乳類が現れ栄え始めたのは僅か1千万年前の事です。さらに人間の出現は、ジャワ原人や北京原人など50万年から20万年まえの事です。

 そしてこの46億年の地球の歴史を一年間に縮めて、現してあったことに非常にショックを受けたのです。46億年前を1月1日として、今日を12月31日として表すと35億年前の生命の誕生は3月29日に当たるそうです。三葉虫の栄えたのは11月22日、魚類の出現は11月30日、両生類の出現は12月4日、恐竜の出現は12月15日、ほ乳類の数が増えたのは12月31日となります。そして人間が現れたのはほんの数10分前の事です。この人間も18世紀の産業革命以前は2億五千万人くらいであったものが、工業の発達により爆発的に増加し、1999年10月には60億人を超えて、今も増加し続けています。人間は1月1日から12月31日まで続いてきた様々ないのちを滅ぼし、その間に造られた石油や鉄鉱石など沢山の資源を科学の発展と共に、人間自身の欲望のために掘り尽くし利用してきました。
 ようやくこのままでは地球が滅びてしまうと気づき、今世界中が環境破壊や地球温暖化を食い止めようと会議が続けられています。しかし各国のエゴのため思うように進んでいません。
 
 釈尊は仏説無量寿経の中に「小欲知足」と説かれています。人間だけの豊かさや便利さを求めるのではなく、自然や生き物全てと共に生きる「共生」の心を持って地球の一員として生きていかねばなりません。それにはまず身の回りの出来ることから始めねばなりません。自然を大切にし、ゴミの減量やエネルギーを出来るだけ消費しないエコな生活、何よりも全てのいのちに優しい生活を考えなければなりません。そして「もったいない」とか「あかげさま」という日本の良き習慣を大切にしたいものです。